120205 第26回東北青年塾の感想(有田和正先生の講座編) | あべたかRoomに続き、今度は自分の「ミニ講座」を振り返ってみます。
佐藤正寿さん、佐々木潤さん、そして、わたし(阿部隆幸)。
東北青年塾の設立者3人が有田先生の目の前でミニ講座を行いました。
2008年の東北青年塾設立当時、冗談で、夢のように話していたことが現実になっているのがなんだか不思議でした。
久しぶりにお会いする正寿さん。
「すっかり管理職っぽくなってすてきですね」
などと悪ふざけしてしまったが、全然お変わりなく、誠実な、素敵な人間性がそのままでやっぱり素敵だなと思いました。
対する佐々木潤さん。
今回の青年塾の一切は佐々木潤さんがしきってくださったといって過言ではありません。
わたしはおんぶにだっこで、まさしく夢の時間をすごさせてもらいました。
佐々木さんの緊張感はすごかったんじゃないでしょうか。
ありがとうございます。
さて、講座の内容。
正寿さん、潤さんは、有田先生をリスペクトする講座、または、有田先生の実践に重なる講座をしてくることはわかっていました。
わたしも、全然、力はありませんが、そうすることもできました。
(わたしも、社会科畑を生きてきているので、有田先生の著書は、20冊は持っていると思います)
しかし、最初から、有田先生に近い講座をするつもりはありませんでした(笑)。
せっかくです。
最初で最後かもしれません。
有田先生の授業とは別視点に立つ、今、わたしが取り組んでいる「協同学習」の模擬授業を有田先生の目の前で行おうと決めていました。
それを見た有田先生がどのようなコメントをしてくれるか。
それを楽しみにしていたのです。
ミニ講座ではなく模擬授業をすると決めました。
わたし、自分で言うのもなんですが、語りが下手です。
授業も下手ですが、まだ語るよりは模擬授業のほうがマシかな、伝えたいことが伝わるかな、そう思って模擬授業にすることにしました。
で、模擬授業でどうしても入れ込みたかったのが2つです。
1 東日本大震災にまつわる模擬授業をしたい
2 協同学習の技法を取り入れたい
12月の青年塾を終えてから「東日本大震災」をどうにか授業化できないかなと考えてきました。
震災そのものを取り上げてしまうと、社会科というより科学の話になってしまいそう。
人物や人の動き(例えばボランティアなど)をうまく取り上げられないか。
でも、道徳のようになってしまいそう。
何より、今、まだ進行中のものを授業化するというのは時期尚早になる可能性が大きい。
でも、震災に何かかかわった模擬授業をしてみたい・・・、ずっと頭の中でぼんやり考えていました。
考え続けると、何かが降ってわいてくるもんなんですよね。
1月に入り、立て続けに、「リーダー論」がわたしの目の前に飛び込んできました。
あっ、これでいこっ。
すると、ピコッ、ネタというか内容はマンガ「沈黙の艦隊」の一場面を使うとすぐに決めました。
この「沈黙の艦隊」ネタは、授業づくりネットワークという教育団体が「学習ゲーム」を中心に研究し始めたとき、わたしは社会科の中で何度か講座で行っていたものでした。もちろん、その当時は、「学習ゲーム」というアウトラインで授業を行っていました。今回は、それを「協同学習」の技法に乗っけるようにしたのです。
ちなみに、「沈黙の艦隊」のネタを授業にのせるのは、わたしのオリジナルではありません。
12年前、わたしは県の制度を使って、2年間、福島大学の大学院で学ばせてもらいました。
その時に、筑波大学の谷川彰英先生が集中講義でいらっしゃり、その単位をとったのですが、その時に谷川先生から教えてもらったものです。
有田先生と谷川先生。
このお二人にも接点がありますよね。
なんか、つながりがつながりを呼ぶ。
おもしろいです。
有田先生と言えば、「はてな」を子どもたちの間に生まれさせ、追究の鬼を育てていくわけですけど、授業の形態(少なくとも、研究授業などでわたしたちにお見せする形)は一斉授業であり、指示発問型の授業ですよね。
協同学習は、指示発問型というよりは、活動中心の授業。流れを説明したらその「枠内」で子どもたちの関わりの中からめあてに迫るように持って行くわけです。
上條先生(東北福祉大学)の図を借りると、こんな感じになりますね。
で、一斉型の授業は、子どもと先生とのやりとりになるか、先生を介して子どもと子どもとがつながるという形になります。赤坂先生(上越教育大学)がよくお使いになる図を使いますとこんな感じになりますか。「鵜飼い型」と読んでいるみたいですね。
で、協同学習では、教師を介することなく、子ども同士がかかわりあいつながるようなシステムをつくるわけです。
赤坂先生の言葉では「ネットワーク型」と呼んでいますでしょうか。
今回は「学びの出会い」と「お話タイム」という技法を組み合わせました。
1 めあてに対する自分なりの考えをもつ。
2 教師の合図で立ち歩く。
3 相手を見つけたらハイタッチをしてペアになる。
4 一方が自分の考えを伝える。
5 一方はそれを聞いて「話してくれてありがとう。私が聞いて学んだことの一つは〜です」と伝える。
6 役割を交代する。
7 お礼を言って別れる。
8 別な相手を見つけて繰り返す。
先の「
120205 第26回東北青年塾の感想(有田和正先生の講座編) | あべたかRoom」で、わたしは
最も印象に残ったことは
「学級づくりは授業でやる」
である。
これは、今、わたしが考えていることとピッタリ一致する。
と書いています。
上の協同学習の技法を用いることで、
○ハイタッチ→互いに認め合う
○「話してくれてありがとう。私が聞いて学んだことの一つは〜です」→肯定的な評価。相手を認め合う。自己肯定感の向上
○お礼を言って別れる→互いの尊重
などを「授業」という中で行うことになります。これが、この20分という模擬授業の中で行う「学級づくり」の具体的な手立てということになります。
かつ、授業そのものでは、それぞれが平等に思考力を用いることになるでしょう。
わたしが何度かこのブログで書いている協同学習の研究者のお一人、ケーガンが言う協同学習の4条件にそれなりに一致した模擬授業と思って試してみました。
4条件とは
1 互恵的協力関係
2 個人の責任の明確化
3 参加の平等性の確保
4 活動の同時性への配慮
です。
もちろん、昨日の会は、協同学習の研究会ではありませんし、参加者は協同学習を求めてきてはいないでしょう。多くが、有田和正先生の話を、実践をお聞きしたくて集まってきたわけです。
そんな中、試してみることに、ワクワク感を感じていました。
20分という時間の中、今の自分の持てる限りの「模擬授業」をやりきったつもりではあります。
(実は、数週間前、成蹊大学の協同学習研究会で行った模擬授業をここで再現することも考えたのですが、そこでのネタそのものは、東北青年塾で1回行っているものだったので新しい形で行おうと考えたのです)
有田先生のコメントは・・・・
「やり方は、、、おもしろかったですね。やり方は。」
というコメントでした(苦笑)。
内容に関しては、ボロボロでした(苦笑)。
有田先生の実践には似ても似つかないものであり、考えに依って立つものではないから当たり前でしょう。
有田先生の真骨頂である、教材開発という視点からは、まだまだというか、教材開発すらした形跡がない模擬授業です(悲)。
でも、わたしはこの方向に進んでいくことに、今のところ迷いはありません。
今の社会の中で、この方向性が求められていると感じるからです。
もちろん、昨日、有田先生から学んだことをうまく融合させて、質の高い(社会科)授業を創ることができないかと考え続けたいと思います。
さて、このあたりで感想、記録を終えておきます。
しばし考えます。
・授業とは何か。
・社会科とは何か。
・授業で学級づくりをしていくとはどういうことか。
奥が深いです。
でも、おもしろいです。
語れる仲間(東北青年塾のみんな)がいるから。